マンガレビュー4月分


「perfect TWIN] きたがわ翔 集英社



若くして少女マンガ界よりデビューした、今やベテラン作家の氏ですが
創作意欲は全く衰えないようです。
見えないものが見える少年と、どこかにいる双子の姉妹にシンクロした少女、
この少しファンタジーなお話は長編になりそうです。
綺麗で誠実な絵は、くつぎけんいちとよく似ていると思ってたんですが
くつぎ氏がアシスタントをしていたと聞きました。
ホントでしょうか。


[BASHISM・バシズム」 日本橋ヨヲコ 講談社



この絵に関しては、好き嫌いがはっきりと分かれると思います。
私自身はあまり好きな絵ではありません。
しかしながら、編集の強制ではない「学園もの」にこだわる姿勢は頑固で、
自分が“男の子”だった時代を思い出させてくれます。
初期の紫門ふみのように、
男の子の気持ちが解ってる描写は
実はこの人男じゃないかという疑いを抱かせます。


「最終兵器彼女」4 高橋しん 小学館



本人は自覚しているか知りませんが、どう見てもこの絵はエッチです。
その道に行けばきっと大人気でしょう。
「いいひと」の作家がこんな話を描くとは誰が予想したでしょうか。
きっと、編集部の反対を押し切って「まあやらせてみれば」
って感じで見切り発車したら
別のファンの心をグッと掴んで大ヒットってところでしょうか。
今最も先行きが不安で楽しみな作品。
もしこの物語を誰もが納得する形でたためたらその実力は絶対的なものとなるでしょう。


「昔の話」 藤原薫 ソニーマガジンズ



表紙のあまりのかっこよさに、思わず買ってしまいました。
中身の方はそれほどでもないです。
発展途上の人なんでしょう
話もイメージ先行で大オチはなく、小オチのままスパッと終わります。
オシャレと言ってしまえばそれまでなんですが、ホンのちょっと食い足りない。
後は、絵にこだわりすぎる人が陥りやすい
イラストレーターへの道には気を付けて欲しいです。


「雪の峠・剣の舞」 岩明均 講談社



演歌歌手など、あまりに大ヒットしてしまうと、周囲の期待が大きすぎて次がなかなか出せない
そのジレンマにこの人もはまっているようです。
時代物の中編二本収録。
本来は、大受けするような作家ではないのに、「寄生獣」の大ヒットおかげで
今はその影を払拭するための大いなる助走期間なのでしょう。
でも、この作品集はホントに面白いです。
作家本人はコミカルさを出したいようですが、その裏に潜む
あまりのクールさに読者はしびれるのではないでしょうか。
普通に描いていても、不気味さが漂います。


「ナゾナゾ謎のお友達」 森下裕美 小学館



今やメジャーなベテラン作家ですが、元はと言えば少年ジャンプとガロに同時デビューした
北極と赤道直下が混在したような異能の人です。
一見、かわいく見えるキャラに潜むが、とても良い隠し味となっています。
たまには以前のような“ひさうちみちお”的絵で
シュールなのも読んでみたいのですが、もうムリなんでしょうか。


「美咲の器」3 原 ジョー指月 漫 あおきてつお



「緋が走る」の続編です。
かつて、グルメマンガを初めて見たとき、こんなジャンルが成立するのか懐疑的でした。
しかしその後の隆盛はご存じの通り。
こういった専門ジャンルのマンガは、ハウツーものとしての楽しみかたもあり
これからも増えていくことでしょう。読者の高齢化に伴いいずれ
ゲートボールマンガや、俳句マンガなんてのも出てくるでしょう。
これは焼き物マンガですが、客の陶芸家の方に読んでもらったところ
そんなアホな」と鼻で笑われてしまいました。
すぐに勝負に走るところはいかにも集英社って感じです。


「GANTZ」/2 奥浩哉 集英社



「変」の後、長いブランクがあって
「01」が発表されましたが、大きく絵柄が変わっていました。
意図的なものかと思いましたが、どうやらブランクのせいで調子が出なかったみたいです。
この作品で絵は元に戻りました。
変わり者の多い漫画家の中でも、ベストテンに入るひねくれたマンガを描く作者ですが
これもぎゅっとひねってあります。ギャグもきれてます。


「Cat's World」2 OKAMA 角川書店



今最も絵としてエッジなのは誰か、という話になった時
藤崎竜かOKAMAではないかという結論に至りました。
最近はフラッパー等で見事な色使いのCGイラストをよく見かけます。
絵の上手すぎる漫画家のセオリー通り、ストーリーがよく解りません。
おそらく、つなぎのすてゴマを描きたくないからでしょう
それにしてもこのPNはないっすよねー
アクセントはOにあるらしい(おそらく岡間さんか)のですが、エロ出身の人はちゃたろーとか、
Meeくんとか、ひんでんぶるぐとか、ぶるまほげろーとか、
もちっと考えて欲しいものです。
集英社ではALOHAというPNも使ってましたが、これもねー。


「コドク・エクスペリメント」3 星野之宣 ソニーマガジンズ



日本漫画界のアーサー C クラークってとこでしょうか。
ハードSFのテイストをふんだんに盛り込んだ氏のマンガは、
多くの他の作品のコラボレーションとなっています。このマンガでもエイリアンや
スターシップトルーパーなど、すぐに思い浮かびますが、
引用だけにとどまらず、必ずオリジナルのアイデアを織り込んでいるところはさすが。
ラストに感動を残すあたりは、むしろジェイムス P ホーガンに近いような気がします。


「JIN」 村上もとか 集英社



あらゆるジャンルをそつなくこなし、はずれのないほぼ完璧なこの作家にとって
唯一の弱点がSFでした。
そう、これは初のSF作品なのです。
アホほど面白いです。読んで損はありません。
江戸時代にタイムスリップしたお医者さんの話です。
隅々まで行き届いた考証は、突っ込むところがありません。
「龍」の方もすごいことになっているし、
必須課題図書というところでしょう。
この作家の最も驚くべき点は、剣道、登山、拳闘、レースなどマニアックに掘り下げながら
その経験がまったくないという、ただ資料を集めて描いているというところにあります。


「並木橋通りアオバ自転車店」1 宮尾岳 少年画報社



なにをかくそう、私は自転車野郎でした。高校から大学にかけて日本中を一人旅しました。
自転車もスポークから全て組み上げられます。
最近は主にバイクと車の堕落した生活ですが、昨今のマウンテンバイクブームには
苦々しく感じています。最低でも、ホイールの振れ取りとハブの玉押しくらいはやって欲しい。
650Bラージフランジ10本取りタンジェントスポーキングは283mmって事ぐらいは
常識として知って置いて欲しい
自転車の世界は、ある意味バイクや車の世界よりもふかいものがあるんです。
恥ずかしながらこの本は、お客さんに教えてもらいました。
この表紙で硬派な自転車マニアの作品とはおもわないっすよ。
第一話のユーレージュビリーのディレーラーで見切りました。