マンガレビュー6月

「おさなづま」 8 昨 森高夕次 画 あきやまひでき 双葉社



絵は古臭く、ストーリーはご都合主義、タイトルと内容も合ってません。
どこを誉めていいのか解らないこのマンガ
めちゃくちゃおもしろい!
誰かこの禍々しいまでの面白さの秘密を解き明かして下さい。
内容は、ロリコンダメ亭主に翻弄される天然ボケ妻の日常だったはずが、
途中からあきらかに路線変更して、
おさなづまの出世物語になっています。
どこまで行くねん!とツッコミを入れながら、熱いものがこみあげて来る
自分に驚かされます。
表紙に惑わされないで読むべし!!


「LOVE LESS」 1 新井理恵 小学館



新井理恵は、明らかに少女マンガの枠をはみ出しています。
ご本人も自覚されているようですが、かといって少年マンガであるはずもない。
「にざかな」よりは、行ってはいけないところまで描いてあります。
まさしく“おっさん”の心を持つ少女マンガ家と言えるでしょう。
ヲタクの夢をうち砕く、あまりにあけすけな女子高生たち、
しかしこれこそが実像にもっとも近いナマの女
そうでしょ、元女の子。


「なるたる」 3 鬼頭莫宏 講談社



一般に、ストーリーマンガは等身が伸び、ギャグマンガは縮んで行きます。
この人の絵は贅肉、いや筋肉までもが削り取られてしまい、もはや
人の姿とは思えません。
あからさまなマリオネットコンプレックスが露呈しています。
創作のエネルギーは肥大した妄想力ですが、あまりストレートに出されると
薄気味悪さが漂います。(同じくアフタヌーンのブラムとか)
人が死ぬ描写のあまりの冷たさに、社会に対する深い絶望感が読みとれます。
もしこの人が創作者でなければ、きっと犯罪者になっていたことでしょう。
悪口ばかり書いているようですが、実は大好きな作品です。
いつも「砲神エグザクソン」の次に読んでいます。
今までのどのマンガとも似ていません。


「ドーターメーカー」 2 河島正 講談社



びっくりするほどのヘタな絵は、「私にはワケあってアシスタントがいません」て事らしいです。
どんなワケでしょう。
同じヘタでも「ナニワ金融道」と違い、既存の作家のコマをパクっているのは確か。
しかし、面白さのためならそんなことは些細な事、
いしかわじゅん曰く、「マンガの中で絵が占める割合は20%」という
言葉を実践してくれています。
悪魔によって仕込まれた、実体化する育成ゲーム「ドーターメーカー」
他のドーターもしくはその親を殺さなければ、100日で魂を奪われる
このアイデアを思いついた時点で勝ち組なワケです。


「りりむキッス」 1 河下水希 集英社



ええとしこいてなに読んでるねん!
すみませんおっしゃるとおり。目的は絵だけです。
設定もストーリーも、行き当たりばったりで描いてるに違いありません。
「攻殻機動隊」を読んだ後の眼休めにいいです。
【鳩山代表は、「I's」の終了後「りりむキッス」がお気に入りとのもっぱらの噂】(噂の真相風に)
「I's」を読んでたと言うのは本当です。


「MOONLIGHT MILE」 1 太田垣康男 小学館



「度胸星」「プラネテス」と、似たような設定が続きました。
これは真似ているわけではなく、社会状況がある水準に達した時に起きる
時代のシンクロニシティーというやつです。
例としては、「2010年」と「さよならジュピター」(悪い例)
「ウテナ」と「エヴァ」(良い例)。
宇宙開発もいよいよ現実味を帯びてきたと言うことですが、
なぜか汗くさい男の熱血根性ドラマになるようです。
その中でもこれは最も気合いが入っています。
冒頭、いきなりの激しいセックスシーンからはじまり、次に山登り、またセックス。
これは女は読むな!と言うサインなのでしょう。
宇宙だけは、最後の男のロマンとして残して置いてほしいという願望の現れですね。
残念ながら、女性の方が宇宙飛行士には向いてるそうです。
(消費エネルギーも少なく、閉鎖空間内での情緒安定度も高いため。)


「ノルマンディーひみつ倶楽部」 4 いとうみきお 集英社



はっきり言って、このマンガどこが面白いんだろうと思いながら惰性で買ってました。
ギャグにキレがなくキャラもうすい。
間違ってました。
これは“ほのぼのマン研人情ドラマ”だったんですね。
そういう眼で見れば、なかなか良い話ではないですか。
ジャンプ版「究極超人あーる」だったのか・・・・
ん?


「十億少女」 1,2 酒井美羽 角川書店



男性にとっては、最も入門しやすい少女マンガ家の一人です。
なんといっても、キャラクターの見分けがつきやすい。
同じ顔で髪型が違うだけの異母兄弟が出てきますが、それでも分かります。
十億の借金のカタに買われた、16歳の少女のシンデレラストーリーなのですが、
この作家お得意のパターンそのものです
きっとラストのオチは考えず、その場の思いつきで話を進める
望月三起也タイプの作家だと思います。
はったりのかまし方、引きの強さが少年マンガ的であるとも言えますね。


「天上天下」 6 大暮維人 集英社



まず、オーグレートと読むんですよ、ふざけていますね。
おそらく、今日本で一番絵が上手いマンガ家でしょう。
いかなるアングル、パース、デフォルメも思いのまま、
特に、筋肉の力強さと、女体の柔らかさの表現は特筆すべきものがあります。
この時代にCGを使わず、筆とペンで美しいカラーを仕上げています。
エロ畑出身の人なので、エッチ度も必要以上です。
「天上天下」は、元々お気楽な学園武闘ものであったはず、
いつの間にか大河青春群像記になってしまいました。
おかげで主人公はまるまる一巻出てきません。
ていうか忘れられてる?
回想シーンに入ると、なかなか戻ってきません。まるでベルセルク状態。


「悪魔なエロス」 1 新條まゆ 小学館



うちの奥様のご推薦です。
なるほど、今売れているのももっともという感じです。
片思いの少女が、その思いを叶えるべく偶然見つけたまじない本で
これまた偶然サタンを呼びだしてしまうという
そしてそのサタンは自分に恋心を・・・・
ありきたりであり得ない設定を恥ずかしげもなくやってしまうあたりは 
男の子の好きなメイドものと同じようなもんですな。
さすがに時代だなと思うのは、主人公が悪魔に触られて
「どうしてあたしこんなに感じちゃってるの?」
というセリフです。


「攻殻機動隊」 2 士郎正宗 講談社



ついに出ました。
これは世界戦略商品です。
自動車、家電に次ぐこれからの日本を支える
重要なヲタク産業輸出品の、最先兵と言えるでしょう。
1500円もしますが、ゆうにアフタヌーン3冊分は読みごたえがあります。
最も驚くべき点は、緻密なCGではなく、前作に比べストーリーが解りやすいところです。
この人あきらかに上手くなっています、時々素子の顔がかわいく見えて
どうしたことかと驚かされます。あまたあるCGつかいの中で
色の出し方は一番でしょう。不満があるとすれば
A5サイズでは小さい事ですね。
せめてB5で出して
下さい。


「ライノ」 雨宮智子 ソニーマガジンズ



7編の短編全てアメリカが舞台のお話。
ファンタジーっぽく見えますが、発想はSFです。
“心温まる”と言いたいところですが、少々の毒を含みます。
それゆえ、軽めの線と、脳天気なアメリカを舞台に選ぶことによって
バランスを取っているのでしょう。
意図的に情報量を抑えめにして、行間を読ませるので
かなりの読解力を要求されます。
表題作「ライノ」とはサイのこと、滅び行く世界と肥満で死んだ母親
まるで三題噺のような物語を、みごとに紡ぎ上げています。、


「マクロス7トラッシュ」 8 美樹本晴彦 角川書店



本編「マクロス7」はどうしようもない駄作でした。
そのサイドストーリーで、単なるバトルものであったはずのこの作品が、
美樹本晴彦の手にかかれば、とても美しいお話に見えてしまうから不思議。
まさしくペンの詩人ですね。
これで完結ですが、ラストはやはり“うた”でしめるところが泣かせます。
最近、アニメの方はあまり関わっていないようで、
それはこの人の絵が、コスモゼロ52型のように、アニメーターにはめんどくさいからなのか、
それとも、残酷にももはや古くなってしまったのでしょうか。