マンガレビュー 5月分


「妖魅変成夜話」 2 岡野玲子 平凡社



薄墨と筆だけで描かれた絵は
このニュアンスを表現するために、印刷屋を泣かせたことでしょう。
諸星大二郎しかり、妖怪が出てくるマンガを描く場合、
絵は下手なほど怖さはきわだちます。
当然、この人もヘタです。
ただ絵に誠実なのです。
アクションシーンを描いても全然動いて見えません。
しかし、男女を問わず画面からあふれ出るこの色気はなんとしたことでしょう。
もはや既存のマンガとは異なる地平に立ってしまった彼女、
杉浦日向子のように隠居してしまわないことを願うのみ。


「ゴルディアス」 2 イダタツヒコ 講談社



絵が上手いとはこういう人のことを言います。
謎のカギ、鍵師、錠前師、キーマスター、ゲイトキーパーをめぐる学園ものです。
そのアイデアもさることながら、四次元的に展開された校舎など、
誰が描こうと思うでしょうか。
パースもアングルもデフォルメも思いのまま。それゆえ、
手抜きのコマはヘロヘロです。
軽そうな絵でありながら、意外と深い物語になりそうな予感がします。


「B.B.Joker」 3 にざかな 白泉社



「にざ」と「かな」で「にざかな」、なんと安直な・・・いやセンスあるPNでしょう。
ギャグの3パターン・・・・
1,変な人が変な事をする
2,普通の人が変な事をする
3,変な人が普通の事をする
からいうと、2のパターンですが、変の跳び方が強烈で、あと一歩踏み出すと
シュールギャグになるところをギリギリ踏みとどまっています。
端正な絵でキレのあるギャグ、
ロボ次郎なんかちょっと感動してしまいました。


「あずみ」 二十二 小山ゆう 小学館



このページは基本的に批判的なことは書かないように心がけていますが、
超ベテラン作家ゆえ、あえて苦言を呈させていただきます。
小山ゆうという作家は、その作品全てが少年少女の成長譚です。
いずれも冒頭は面白く、成長にしたがい色あせてゆきます。
「愛がゆく」にしろ「がんばれ元気」にしろ、最初を十とすると終盤は五ぐらいでしょうか。
それでも打ち切りになったことはなく、きっちり描ききるところはさすがなのですが、
この「あずみ」にしても五巻くらいまでの疾走感は何処へ行ったのでしょう。
今でも充分面白いのですが、やや冗長すぎるような気がします。


「白眼子」 山岸涼子 潮出版



昭和初期に実在した預言者がモデルのお話。中島らも曰く、
「怖い話を知りたければ”私の人形はよい人形”を読んで下さい、夜おしっこ行けんようになります」
というほど怖かった山岸涼子。どうしたんでしょう。
前作「封印」(後に出版社とのゴタゴタによりツタンカーメンに改題)でもそうですが、
何か起こりそうな予感だけさせておいて、物語は淡々と、そしてあっさりと
終わってしまいます。
筆圧が落ち、画力もどんどん下がっている気がします。
それはそれで怖いのですが、
悪いことが起きなければと願うのみ。


「未完兵装ルナシャフト」 1  画 山口恭史 作 金子良馬 角川書店



完全に遺伝子操作され、男女比が1:9となった宇宙開発世代、
BSで放映中の「ジーンシャフト」の原作ということで買いました。
キャラは同じですが、全く違う話のようです。
アニメ板ジーンシャフトは、ハードなSF的展開にシビれてしまいました。
こちらの方はもう少し軽いお話ですが、これはこれで
なかなかSFをよく解った人が描いています。
クリーンな絵にも好感が持てます。続きが楽しみ。


「人妻姫」  かるま龍狼 ワニマガジン社



絵は抜群に上手い。これだけの画力とギャグセンスがありながら
少年誌に行かないのは、きっと好きなんでしょう。
エロマンガ界の鳥山明と言いきりましょう。
人妻姫?を探し求めて旅を続ける王子、
話はまだ終わっていませんが、続きはあるんでしょうか。


「ベルセルク」 21 三浦健太郎 白泉社



強烈なキャラクターだったモズクズ様は、割とあっさり死んじゃいました。
しょせん、レベル20くらいでしたからね。
(一般人を1,兵士を3,鷹の団で5,6,ガッツで10,ゾッドで100,ゴッドハンドで1000くらい)
7年かかって回想シーンを終えた後も、遅々として話は進みません。
このペースだと順調に行って後30巻はかかるでしょう。
とするとあと15年、アニマルはあるの。
ガッツには超常の力はなく、肉弾戦のみでどうやって100倍くらいの
力量差を埋めるのでしょうか。全く想像もつきません。
だいたいこの話、どうなれば終わりなんでしょう。


「ダーククリムゾン」 1 うるし原智志 講談社




初のメジャー講談社からの出版ですが、
やってることはあんまり変わりません。
この人の描きたいことはただ一つ・・・・
美乳

これしかありません
乳首に対する思い入れはすさまじいものがあり、他の追随を許しません。
したがって、ストーリーがどうだったかなんて知りません。
フェチは即買うべし!5回は抜けるぞ!(クッキッングパパ調で)


「DV ディーヴァ」 2  藤間拓哉 講談社



パラノイックなまでに重ねられ削られたトーンは
肉体はおろか機械までをも柔らかさを持って表現しています。
しかしながら、全体はぎこちなく堅い印象を受けます。
一番の理由はネームです。日本語としてヘンなのです
「うしおととら」のようですね、勢いがないぶん
やや不利か、絵だけ楽しみましょう。


「狼の瞳」 岩原祐二 角川書店



短編集、この人も絵が上手いのですが、
ペンが走りすぎて読み辛いです。好みの問題とは思いますが、
私としては一番古い「蛇」が好みです。
表題作の「狼の瞳」にはこの表紙の女の子は出てきません。
まるで望月三起也を彷彿とさせる、アメコミ調の復讐劇です。


「SS」 3 東本昌平 小学館



今、車のマンガといえば「頭文字D」ですが、
あんなものは初心者向けにすぎません。
虚飾を廃した男の世界、まず主人公の乗る車が超マイナー
ドライビングも、ヴォモァッとかシュゴッとかしか書いていなくて
クリッピングがどうとか、いちいち説明はしてくれません。
解るヤツだけついてこいという態度がすがすがしい印象です。
車の知識がない人が読んでも、全く面白くありません。念のため。