マンガレビュー3月


「エア・ギア」 5 大暮維人 集英社



表紙にはCGが使われていますが、おそらく作者の仕事ではないでしょう。
この方のフリーハンドは、人の眼から見てコンピューターよりパースペクティヴが合っているのです。
ピカソ並デッサン力と言えましょう。
モーター付きローラーブレード「エア・ギア」の設定も、
街中を自由に飛び廻る絵を描きたいがための逆算から生まれたものと思います。
(本当に有ったら死者続出デスヨー)
この細密な絵で週間連載は不可能と思いましたが、
まったく月刊誌と変わらないレベル、遅筆な作家が作業を見たら
深い絶望感にとらわれるに違いありません。
しかし、これほど描きたいものと読者の読みたいものが一致している幸せな作家は稀です。
シャープなメカ、あふれる乳、はみ出るパンツ、
問題は、ついチンポ汁が・・・もとい、先走りすぎて少年誌には有るまじきものを描いてしまうこと、
編集部はネーム段階で緊張感を持って検閲されているものと想像します。


「頭文字 D」 28 しげの秀一 講談社



ついに28巻にして初レビュー、初出が1995年なんですが、
なんと物語の中ではまだ一年しか経っていなかったのです。
今ではAE86など手に入れようともどこにも売っていません。
このマンガのおかげで、バカヤロさまがみんな乗りつぶしてしまいました。
95年当時でも十年落ち以上の旧車は、ちょうど私の大学時代の新車です。
その頃貧乏だった私たちが乗ってたのは「TE27レビン」や「KP61スターレット」「RX-3サバンナ」ですが、
86以降から、車は「操るもの」から「乗せられるもの」に変わったような気がします。
当時のトヨタ車はスカスカで限界が低く、その分手を入れると
劇的に良くなったものですから、みんな改造に夢中になりました。
しかしその後次々と出てくる高性能車には太刀打ちできず、
そのルサンチマンが作者にしてこの86を選ばせたのでしょう。
さすがに現代においては夢物語となりつつあり、このまま時が過ぎれば
ファンタジーの領域に突入しそうです。
一巻目に比べると、登場人物の眼がみんな翔んでいて少し怖いのと、
やたら空間にゴミが浮かんでるんですけど、これは
ゴミ汚し専門のアシがいるのでしょうか。
それともこれが先生のお仕事・・・・・・・・。


「KANEHIRA-DEATH」 金平守人 エンターブレイン



自らの名をした本の四冊目、
もしかしたら本当に「DEATH」かもしれない・・・・。
毎回趣向を凝らし、絵柄を変え、身を削りされてきましたが、
キャラやネタのの使いまわし、もはや削る身も尽きたようです。
やってはいけない「ネタに詰まった自分ネタ」「最終回オチ」に手を出し、
覆面作家として叙情的作品に挑戦するも、影の付け方の癖でバレバレ
あげくは本誌のカラー付録に「はが練」「ワンピ」のパロディーカバーを無許可でやり回収騒ぎ。
(これは編集部も悪いし、金平ごときに突っ込む奴らも悪い))
あとはもう開き直ってストーリー物に挑戦しかない・・・と思ったら
本当にラブコメやるみたいです。
果たしてこのくすぐったい状態をどのくらい続けられるでしょうか。
一人の童貞の生き様として、今後も私は彼に注目したい!


「サイコドクター楷恭介」 1 画 オキモト・シュウ 作 亜樹直 講談社



何か突然作画が変わりました。
前の作画「的場健」は軌道エレベーターの開発物語の方に専念されているようです。(ちょっとやばい)
的場健は絵が固く暗いので、最初この作品好きじゃなかったのですが、
こういういかにもTV受けしそうな男前でやられると、前の雰囲気のほうが良かったなという気がします。
でもきっとこちらで始めてた方が人気出るの早かったでしょうね。
絵に合わせて楷恭介の性格も自信たっぷりで、
その分、少しうそ臭く薄っぺらくなったような気もします。
作画によってこれほど変わるとは驚き。


「天医無縫」 1 画 地引かずや 作 伊月慶悟 日本文藝社



おじさんマンガだってちゃんとマーケティングリサーチやってます。
出ました、敏腕外科医。かっこいい。
同じグラフトを採るにしても内胸動脈から採るなど、腕は「医龍」の朝田以上か、
まぁ脳移植やっちゃうB・Jに比べたら児戯ですけどね。
ドラマ部分はともかく、医療ネタ部分はかなり練られたいい原作です。
おじさんマンガの特徴は何といってもそのわかりやすさ、
登場人物は、0.5秒見ただけで悪い奴かどうか判別できます。
そしてペコンとへこまされてしまうのです。
すっきりします。