マンガレビュー2月


「シグルイ」 1 画 山口貴由 作 南條範夫 秋田書店



タイトルだけではなんの話かわかりません。
死狂い」でいいのですね。
ヒネクレ度NO1の作者にして、初めての原作付ですが、
これも「餓狼伝」と同じで、自分の嗜好に合致したものを持ってこられたようです。
原作の「南條範夫」は、残酷時代劇ブームで一時代を築かれた方らしいのですが、
私としては「月影兵庫」(後に花山大吉)を子供の頃楽しみに観ていました。
あのお話はコミカルなものでしたが、こちらは本当に残酷です。
いきなり城主の「臭うな」に城代家老のハラワタ掴み出しシーンでクラクラ。
よほど原作者を尊敬されているのか、絵には気合が入りまくり。
明らかに一段階進まれたようです。
後は「チャンピオン・レッド」が潰れないことを祈るのみ、
売りが「こいこい7」じゃなぁー・・・・。


「イヴの眠り」 1 吉田秋生 小学館



「YASYA-夜叉-」の続編になります。
この娘は、遺伝子改良人間「「有末静」と凄腕女傭兵「ルー・メイ・クァン」の間に
出来ちゃった女の子です。
育ての父親は米特殊部隊隊長あがり、鍛えられたわけではありませんが、
父親の超人類遺伝子に母親のが加味され、地球上でこの「アリサ」に勝てるのは数名しかいません。
そのうちの一名、父親のクローンが一家の隠遁するハワイ島に現われるところで一巻の終わり。
吉田秋生」という人は、「カリフォルニア物語」の初期を除けばずっとハードボイルド畑です。
時折入るヤオイサービスと絵柄を除けば、「ビッグ・ゴールド」でもおかしくありません。
これを載せてる本が「フラワー」なんだから笑わせますね。
ところが「ラヴァーズ・キス」なあんてほろ苦いのも描けるから恐いです。


「花縄」 1 画 森秀樹 作 小池一夫 小学館



森秀樹」はデビューの頃は普通の少年マンガ絵だったのに、
今ではすっかり故「小島剛夕」の後継者です。(続・子連れ狼も始まりました)
元々そんなに上手い人ではなかったので、存外この絵は描きやすいものなのかもしれません。
(手間はかかるでしょうが)進む方向は大正解
墨攻」は名作ですがオリジナル部分にやや甘さを感じますので、
しっかりした(?)原作を附けて絵に専念するのは良いことだと思います。
わけありで引退した関取が、「鬼平」こと長谷川平蔵に拾われ岡引に・・・というお話。
いつもの小池節で「ン」も鼻につきますけど、エンタテイメントぶりはさすが。
でも最近こういう本歌取りや続編が目に付きまして、
やはりお疲れなのではないかと・・・・・。


「暁の歌」 藤田和日郎 講談社



このまえの短編集が「夜の歌」ですので、次は「昼の歌」ですか、
とても律儀な方なのでそれもあるかも。
律儀と言えば出てくる女の子はほぼ全員脱がせるというサービス精神旺盛で、
島本和彦」の「吼えろペン」でネタにされた果てしなくサインに応じる競争
ってのもマジみたいです。
ネーミング、発想、デザインともにユニークでオリジナリティーあふれていますが、
もう一歩進めると「荒木飛呂彦」か「山口貴由」まで行きそうなところで踏みとどまっています。
それが小学館のカラーなのか限界なのか。
島本さんよりはもう少し大人で、もう少し稼いでおられることは確かでしょう。


「OTON」 猿渡哲也 集英社



タフの「おとん」とバキの「おやじ」とどっちが強いかと言えば
そりゃもちろんバキパパですけど、まだこっちのほうが人間味があって救われます。
(とはいえ、素手で銃弾掴んだりするけど)
猿渡哲也の絵は好きじゃなかったんですが、それは
板垣恵介絵のホモ臭さではなく、はっきり言ってヘタだからです。
集英社は勢いを重視するのでよくこのようなマンガ家出てきますが、
やはり継続は力なり、最近の絵は線も整理されて静かな凄味も感じられます。
話が一段落したら、バキパパとおとん、バキとキー坊で
異出版社格闘技決戦夢の対決ってのはどうでしょう。
勝敗は出版社の力関係かな?