マンガレビュー9月

「Forget me not」 1 鶴田謙二 講談社



女の子の探偵物なんですが、話がよくわかりません。
この「わかりにくさ」がカルト作家のひとつの条件みたいなところありますけど、
この人の魅力はそういうとこじゃなくて唐突に現われる巨乳描写ですね。
女性のからだがとても柔らかそうで、下着の素材まで手に取るようです。
すっごいスケベなんでしょう。
絵はほとんどフリーハンドで、よく見るとワク線もすこしいい加減です。
おそらくあたりだけつけて一気にペン入れしているものと思われます。
よく落とすしページも少ない、コレ1ですが2が出るのは果たしていつになるやら
ちょっと上手いからっていい気になってますね。
でも本屋で新刊を見つけると、宝石を発見したかのように幸せな気分になるのは何故でしょう。
たまに100円コーナーで発見すると「許さんぞ!」って言いたくなります。


「ナノトリノ」 1 ふくやまけいこ ワニブックス



小さな女の子を描かせると、胸の下辺りがこうキュッとなるくらい
男性にもわかりやすいかわいい絵なんですが、「須藤真澄」と同様
奥にどす黒いものを秘めているような気がしてなりません。(笑)
アニドウから出された同人の再販本「ふくやまジックブック」の発行年を見ると
なんと1981年ですから、もういいおばちゃんのはずです(失敬!)
どれを読んでもなにか妙なエロスを感じてしまうのは、私がヘンタイだからだろうか・・・。
このお話は、江戸時代くらいの日本に似た架空の国のファンタジーで、
「ギシン様」という巨大なウーパールーパーの化け物を従え、二人の姉妹が都目指して旅に出ます。
この方の基本はSFなので、ファンタジーとしてはちょっと妄想が足りないかなと思うのですが、
SF好きとしてはナノ(10のマイナス9乗)トリノ(ニュートリノ?)あたりで引っかかってしまいます。
ピコちゃんとかピロちゃんとか出るんだろうか。


「天才ファミリー・カンパニー」 4 二ノ宮知子 幻冬舎



二宮知子は天才好きです。
でも主人公はいつも超秀才で、天才にいいように振り回されるのです。
つまりこれは
天才に勝る努力無し
って事を言いたいわけで、はナンボ努力しても長嶋になれんという事です。(ならんでいいけど)
この本は過去に出た12巻を6巻にして再発行したものですが、
連載中の「のだめ」に比べるとキレがもうひとつという言う感がしますけど
よくまとまった面白い話です。
幸せな自称天才青年(ややフケ顔)の母子家庭に訪れる突然の不幸、
再婚、野生児の連れ子、状況の壊し方が上手いです。
これと「Green」を合わせて読むと、
作者の数百gのアルコールによって壊された脳細胞が、
「のだめ」で突き抜けるまでに如何に進化を遂げたかがうかがい知れます。(笑)


「アストロベリー」 1 金田一蓮十郎 スクエアエニックス 「チキンパーティー」 1 金田一蓮十郎 秋田書店



ほぼ2冊同時刊行、これのほかにも「ハレグウ」やってますから、
急に売れて大変だろう・・・という心配は多分要りません。
おそらくこのタイトルも内容も3秒くらいで考えたに違いありません。
デビューで18だったからまだ20代前半のはずで、本来は少女漫画に行くとこなんでしょうが
少女マンガの範疇からは大きくハズレれています
作者自体が少女マンガの住人なんだろうと思います。
こういう軽いタッチのものを書く人は、実はシニカル…という指摘もありますが、
ごくまれに生まれつき達観した「世間の仕組みはインストール済み」の人がいるのです
チキンパーティーにはセサミストリートに出てくるような派手なでかい鳥がいるんですけど、
フツーはこういうのなんなのか第三者は突っ込っこまないお約束。
ところが平気で警察に捕まったり「ぬいぐるみのバイト?」なんて言われちゃうのです。
で、そいつがポジティブシンキングでお悩み解決するんですが、
それがギャグマンガにあるまじき重さなんです。
「世間の悩みなんてどれもたいした事無いのよ」という感じです。
ユダヤとイスラムの対立も同じトーンで語られてしまいそう。
アストロベリーはこっぱずかしいラブコメ(本人談)ですが、いきなり宇宙人です。
ここは観察者である宇宙人と地球人の常識の違いから笑いを得るところなんでしょうが、
いかんせん作者が非常識なんで予想はすべて裏切られます。
とてもし系、まじめに深読みする奴がバカですね。


「フォトガラ屋 彦馬」 三山のぼる リイド社



「彦馬」の名は知らずとも、「竜馬」の写真はみな御存知でしょう。
それを撮った日本初のプロカメラマンのお話。
幕末の有名人が次々と登場します。
でも話は淡々と特に盛り上がるでもなしに進み、
これ1巻ですが2が出るかなーというところです。
もったいない、ビッグコミックあたりでじっくりと読みたいところなんですが・・・。
三山のぼるは好きでほとんど買ってますけど、あんまり人気は無いですね。
村野守美」の正当な継承者で「クレパックス」信奉者。


「Drコトー診療所」 11 山田貴敏 小学館



この方も古くから少、青年誌で描かれておられますが、お世辞にも大当たり出したことありませんでした。
いつも主人公の押し出しが弱く、目がとろんとした覇気の無い顔ばかりで、
全体にとらえどころの無い印象があるのです。
偶然これも医者ものブームの端緒となった訳ですが、
左遷された覇気の無い顔の青年医師がが無医村の孤島にやってくるということで
ハーこりゃまた地味なものを・・・・と当初心配しました。
しかしこれドラマ化し易かったのです。
はっきり言ってそれほど熱中するような面白い話とは思えません。
しかし読んで損はないよく出来た作品です。
メディアミックスの成功例のひとつでしょう。


「ホーリーランド」 6 森恒二 白泉社



補完しちゃったシンジ君のお話です。
引きこもりがシャドーボクシングだけで強くなっていくという夢のようなスバラシいストーリーです。
個人的には格闘技ものはあまり趣味ではないんですが、
連載当初から妙に引っかかるものがありました。
よく鬱々と日々をすごす閉じた人たちは、「じつは俺には秘めたる力がある」
という幻想にとらわれることが多く、
それをよりどころになんにもしないで日々をすごすんですが、(俺もそうだったよ)
そういう願望にパチンと嵌まった作品と言えるでしょう。
作者は「ベルセルク」の人と漫研の同期だそうで、そうすると結構なお歳、
あんがい実体験込みなのかも(空手は黒帯らしいです)。
問題は予想以上に人気が出ちゃったので、このまま続けるとどんどん強くならざるを得ない、
すると「軍鶏」のようにリアリティが薄れて行き詰ってしまうかも…という所です。
強いシンジ君なんか腹立ちますよね。