マンガレビュー4月

「湯けむりスナイパー」 12 画 松森正 作 ひじかた憂峰



昔は「おそ虫、おそ士、おそ正」と言って編集に恐れられた三方のうち一人ですが、
前記のお二人が量産型で多忙であったためと言う理由とは異なり
描線に対する異常なまでの執着がもたらしたものです。
今でこそこのくらいのトーンワークはベーシックとなりましたが、
数十年前はじめて氏の絵を見た私はそのあまりのリアルさに
「写真に違いない」と勘違いしたほどです。
(今見返すとたいしたことありません「木曜日のリカ」)
で、このお話ですが、タイトルからしてあまりなミスマッチ、あざとさに
小池一夫」かと思ってしまうほどです。
引退を決意した超凄腕スナイパーがひなびた温泉旅館に下働きとして隠遁をきめこみます。
きっとその有り余る殺人スキルを生かして影に大活躍・・・・・するんだろう
と思いきや、
なーんにも起こりません。
たまーに熊を撃ち殺すくらい。
三癖くらいある登場人物に囲まれて、ほのぼのと日常を過ごすのです。
おじさんマンガにまで癒し系が・・・・・・。


「RAY」 1 吉冨昭仁 秋田書店



今はやりの「医者もの」です(笑)。
若い女医さんですが眼がレントゲンに改造されてます。
だから外科手術のときは的確にズバット切れるわけですね。
実は陰惨な過去があって、黒ずくめの顔に縫い痕がある凄腕無免許医に救われたのでした。
・・・・・こんなのいいのか?
ああ、秋田書店だから許されるのか。
イートマン」の方ですが、秋田はいまやマイナーなのでなかなか有名になるることはありませんね
いい作家出てくるのに。
この方も魅力的な絵だと思うのですが。
BJによろしく。


「空飛ぶアオイ」 福島聡 「6番目の世界」 エンターブレイン

 

この方は最初からメジャーを望むべくもありません。
今や「ガロ」「トム」のポジションを「ビーム」が一手に引き受けています。
このようなサブカル受けするような作家には、そういう受け皿が必要なのです
きっと小原愼司さんと同じ出版社なら、いいお友達になれて
一緒に古本探索でも行くのでしょう(冗談ですよ、冗談)
空飛ぶアオイ」の方は絵から受ける印象よりかなり難解です。
6番目の世界」は初期の作品集で、ストレートなさが心地よいです。
読後感がほっと安らぐところがいいです。


「殷周伝説」 1 横山光輝 潮出版



失礼な言い方ですが、
トムが先か横山光輝が先か
とはらはらしながら読んでいましたが、トムがずいぶん先でした。
「三国志」もそうですが、ただ移動し、飯を食い、会話するだけのお話・・・
キャラの差は髭と鎧だけ、それだけなんですが
すっごい面白い。
まさに記号で作られた短歌の世界。
ちょっと古い話なので怪力乱神も入ってくるんですが、
それがまたいいアクセントになっています。
出来たらずっと生きててほしい大先生
でも中国の歴史ものはほとんどやりつくしたか・・・・いや
毛沢東伝なんてのがいいかも


「R-16」 画 桑原真也 作 佐木飛朗斗 講談社



吸血鬼専門作家かと思ってました。
キれたヤンキーものです。
暴力、殺戮描写にはかなりのこだわりをお持ちのようで
読んでいてそうです。
ていうか、絶対致命傷のはずなんだけど・・・・・。
パッションに走りすぎるきらいがあるので、原作付きなのでしょうか。
原作者の写真は恐いです。
絵は気持ち悪いと言われる方と、ネタにされる方に分かれる
有機的な不思議な線です。


「ヤング島耕作」 1 広兼憲史 講談社



まさか「島耕作」までレビューするようになろうとは・・・・・。
はっきり言いますが、私このマンガきらいです。
作者自身も大っきらい
広兼憲史の風貌も思想も許せない。
でもマンガは面白い
世の中の多くの男性はサラリーマンなんですが、
みんなこの島耕作のように生きられたらどんなにいいでしょう。
等身大でどこかに居そうなキャラクターですけど
どこにも居ない
まさにスーパーサラリーマン。
その意味ではスーパーマンよりSFなのかも知れません。
その島耕作がまだペーペーの頃のお話。
これで少しでも理想に近づこうとマニュアルにする人もいるでしょう。


「Mrクリス」 5 秋本治 集英社



これって作者の「亀有」に次ぐ長期の連載ですね。
まだ5冊目ですけど、絵なんかぜんぜん変わってません。
最近ようやく「アニメ的崩し方」が少し入った程度
これほど量産しておきながら、ぜんぜんうまくならないのは才能というべきでしょう。。
ですが理屈抜きに面白いというのはまさにこれ、
何ぼでも引っ張れそうな設定がすごいです。


「AMAKUSA1637」 5 赤石路代 角川書店



沖田総司」「森蘭丸」「天草四郎」とくれば
三大日本歴史上のヤオイネタですが(それでいいかな?)
天草四郎は実は女だったというありがちな(失礼)設定、
それも現代からタイムスリップした女子高生というご都合主義的なストーリーながら
さすがに「赤石路代」、上手いです。
JIN」でもありましたけど昔の日本人は思った以上に背が低く、男なら170もあれば大男。
まして女性ともなると165超えるなんて竜馬の姉さん位しかいません。
この辺ちゃんと説得力がありそうなところがえらい。
おじさんにはピンとは来ませんが、女の子がどの辺に萌えるのか
解かるような気がします。