10月マンガレビュー


「クラッシュ奥さん」 2 吾妻ひでお ぶんか社



ここで吾妻ひでお大先生の御本を紹介できるようになるとは光栄であります。
ディラン・チルドレンという言葉があります。
ボブ・ディラン」の名は知っていても、その曲を聴いた人は意外に少ない。
しかしその影響力はフォーク、ロック、ポップス、民族音楽ブーム等、あまねく散見出来ます。
いまのミュージシャンは全てディラングランチャイルド(孫)グレートグランチャイルド(曾孫)と言ってもいいでしょう。
現代マンガの始祖が「手塚治虫」であっても、ロックの始祖がプレスリーであっても
“今”を創ったのは吾妻ひでおでありディランです。(断言!)
現代のヲタクシーンの創始者
その先生の御本ですから、批評なんてしたくありません。
でも探すのに苦労しました。・・・・・・・・とほほ
何処までもついて行く所存であります。
と言うことで、今月は「たとえてみよう」です。


「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」 華倫変 太田出版



かりんぺん」と読みます。
意味は解りません、誰か教えて。
お話には壊れた女の子ばかり出てきます。
作者本人は壊れちゃいないとは思いますが、HPを見ると少し不安になります。
女の子はかわいいし、それほどグロい描写もないんですが、
ギリギリ抜けません
思うに、女の子の目の焦点が合ってないせいでしょうか。
結構癒されたりするので、精神系の方には人気か・・・・、
とても微妙なポジションにいる方です。
行き過ぎない「町野変丸」。


「少年少女ロマンス」 1 ジョージ朝倉 講談社



これは熱心なお奨めにより買いました。
掲載誌が別フレではちょっと守備範囲外です。
デビュー1995年ですから結構ベテランなんですけど、サブカル雑誌じゃなく
メジャー誌であったがゆえに発見されるのが遅れたと見るべきでしょう。
実際、メジャー議定書ボーダーですね。
しかしこのポジションにいるからこそ意味があると言えます。
乱暴な絵なんですが、構図や場面転換がとても上手い
意表をつく展開に、思わず声を上げて笑ってしまいました。
きっともっと上手くなる人。
ただ、今は絵が安定せず、やまだないとだったり安彦麻里絵だったり小野塚カホリだったりします。
かなり熱いファンも付いてますから、きっとブレイクします。 美人だし。素顔
ジョージ朝倉オフィシャル webマンガ有り
えっと、怒ってない安野モヨコ


「少年少女」 1 福島聡 エンターブレイン



いいです。
ビーム」にあってもけがれない魂のようで。
人の心理の“行間”を読ませるのが上手い。
この短編集にはいろんなジャンルのお話が詰まってるんですけど、
統一感があります。
人に対する視線が優しいと言う点で。
子供と老人が上手く描ける方は、本当に実力のある作家だと聞きましたが、
そのとおりですね。
んーー、読みやすい「黒田硫黄


「鉄人」 2 画 落合尚之 作 矢作俊彦 小学館



鉄人と言えば私は「28号」しか思い浮かびませんが、
勿論それを踏まえています。(作中の2003年度版アイボがアトムだし)
鉄人のデザインも重厚ですが、ストーリーも重厚
二巻にしてまだほんのプロローグです。
原作が「気分はもう戦争」の方ですし、予定通りなら緻密でスケールのでかいお話になるでしょう。
そうなると心配は“打ちきり
地味ですからね、先を急がされはしないかと心配。
中国大陸を舞台の正統派冒険活劇です。
あー、ソフィスティケーティッド大友克洋


「ラブホルモン」 坂井恵理 講談社



もはやとSEXの関係を問題にするのも恥ずかしい時代です。
そこにあえて踏み込もうとする勇気を称えたい。
近未来、を励起する薬として政府に公認された「ラブホルモン」が
もたらす状況を描くSFです。(断言)
柔らかくかわいい絵なんですが、テーマはいですね。
売春と言えば「身体は売っても心は別」と言うのが最後の言い訳でした。
でも「心」を売ればどうなるのか・・・・・・これってすごいアイデアだと思うんですが、
これ一巻で終わり、もう少し長編で読みたかったです。
まだ若い石坂啓


「花鳥風月 紆余曲折」 2 佐佐木勝彦 講談社



典型的な理系風刺マンガ。
現代社会を分析、弾劾します。
こういうのは、新聞の一コママンガの仕事の筈だったんですけど、
アホな現代人により分かり易くということでしょう。
哀しいかな、毎回の掲載ページが少ないので、単行本ではすでに旧聞になっていることも多いです。
むくわれないですね、絶えず大衆側にいられるようにリサーチは欠かせないんですが。
相原コージ的な、一ネタをキャラクター化してバリエーションで使うというのは、比較的避けておられます。
はっきり言ってそれはあまり面白くないですけど。
腱鞘炎とまでは行かない上野顕太郎


「花ばなの歌声」 1 神坂智子 小学館



旅行記なんかでもわかりますが、世界中の危ないとこ巡りをされていますから
このチベット描写も生活臭が漂うほどリアルです。
クマリ(生き神様)に選ばれた少女のお話ですが、そのエキゾチックな神秘性のみに目を奪われ、
その実態を追究したものは見たことがありませんでした。
もちろんこんな寺院の中など取材できるわけもありませんけど、
異国にロマンを求めるだけでなく、その暗部も含めて愛でる神坂智子氏の筆力は
哀しい物語だけでは終わらせない深い洞察を感じます。
目が大きくない山田ミネコ


「書きくけこ」 1 くさか里樹 講談社



一番有名なのは「ケイリン野郎」。
今は無き「コミックトム」で骨太なイタリア政治マンガを描いておられましたが、
その前はレディースコミックなんかでよくある恋愛もの(SEX有り)作家でした。
あまりに骨太すぎて(イヤ別にご本人がと言うワケじゃないです)青年誌に進出です。
」の世界のマンガ描写は、「音楽」や「料理」と違って表現しやすそうに思われますが、
なまじ見られてしまうだけに、そこまでのストーリーが説得力を持たなければならない。
で、みごとに描ききっておられます。
問題があるとすれば「くさかりき」と発音するPNですかね。
今風牧美也子



「振袖いちま」 3 須藤真澄 エンターブレイン



久しぶりの3巻目。
出版社は違えど同じ装丁で、なおかつカブリ無しで出していただけるのは嬉しいです。
連載途中で何度も出版社を替わらざるを得ない(ガイバーとか)作家さんは大変でしょう。
この方は、最初から絵柄もお話も完成していてそんな心配なありませんが・・・。
作品のほとんどがファンタジーでありながら、ファン層は男性女性半々くらいだと思われます。
それは登場人物みんな可愛いだけじゃなく、底意地悪いところにあります。
市松人形の精(?)いちまにしても、とても頑固でフクザツ。
末端のキャラクターまで全て「世の中を信じてない」感があります。
私はこのひねくれたところが好きですね。
一度本気のホラーを描いていただきたい。
う〜ん、線の太い「ふくやまけいこ」(くるしい)。