マンガレビュー 6月


「おひっこし」 沙村広明 講談社



羽生生純」ほどでは無いけれど、この人も相当な変わりモンです。
むげにん」とはうって変わって恥ずかしげも無い現代大学生ものです。
もしこちらでデビューしていたら、イメージは大きく違っていたことでしょう。
これはこれで今っぽくて良いです。(絵は同じなのにねぇ)
この作家の特長は大胆な構図とシチューションだから、戦術の人だとばかり思っていましたが、
こうしてみると底知れない、懐の深い作家だと思います。
時々エロ雑誌でSM挿し絵描いてますし(性癖に問題あり?)何をやり出すか解りません。
涙のランチョン日記」はもっと良いです。
ネオ演歌調マンガ家。


「STREGA!」 1 米村孝一郎 集英社



知ってる人は知ってる、半分消えたマンガ家状態でしたが、
やはり絵の上手い人は違うな、なんのブランクも感じさせません。
この方のもっとも素晴らしい特徴である世界の構築が、この話でも冴え渡ります。
物理的に聞いたことのない(SF的にも)星雲状の新天体が舞台です。
これはSFと言うよりも、ファンタジーの手法なのですが、あまりに突拍子も無い設定のため
物語に入り込むのに苦労します。
世界観に幻惑され、ストーリーの意味を追いきれないのです。
もっとも、そこがよいとも言えますが・・・。
エネルギーの波を飛ぶ船の感覚が新鮮です。


「岸辺の唄」 今市子 ホーム社



またしても今市子。
こんなに立て続けに出てるのはブームが来てるの?
この淡々とした描写は、「佐藤史生」とも「「岡野玲子」とも「神坂智子」とも違う
薄笑いを浮かべたような厭世感があります。
巻末の自画像を見るとそうでもないのですが・・・。
古代の中国っぽい設定で、独自のファンタジーに仕上がっています。
惜しむらくはもう少し永いシリーズで読みたいと言うところです。
掲載誌には苦労されているようです。


「もっけ」 1 熊倉隆敏 講談社



すごく良いです。
さりげなくサラッとした民間伝承ホラー・・・いわゆる妖怪物ですが、
決しておどろどろしい描写に走ることなく、
かといって闇の世界の住人達の恐怖をないがしろのはしていません。
軽いタッチの絵ゆえ「もっけ」(物の怪)たちの正体を描くとき、コントラストが十二分に効いています。
子供の描き方も上手いですが、ジジババの描き方も秀逸、
こういう人はホントに上手い人です。