5月マンガレビュー


「バロン・猫の男爵」 柊あおい 



映画が公開される前からこの「バロン」は有名になってしまいました。
690円でマイナーなのに既に5刷でした。
純粋なファンタジー物で、私としては最も苦手なジャンルなんですが、
ハッとする斬新なイメージ描写が随所に見られ、
「なるほど、このあたりをジブリは買ったのか」と納得させられます。
(というか、こんなのばかり読んでるジブリのおっさん達って何?)
「おもひでぽろぽろ」の刀根夕子といい、いきなり表舞台に引き上げてもらえるのは良いとして、
ジブリといえば宮内庁御用達みたいなもんですから、今後の創作活動に支障はきたさないのでしょうか。
少なくともヤオイにははしれませんね。
中山星香好きの女房は絶賛です、
理屈から入る男には、絶対描けないお話です。


「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」 1 安彦良和 角川書店



アニメのキャラデザイナー自身がオリジナルを描くと言うことで、
基本的には「エヴァ」と同じ清書に過ぎないはずですが、数十年前もはや伝説となった
作品の事ですから意味合いは大きく変わります。
少なくとも、「オレのガンダムとは違う!」という意見は無視できますね。
いやむしろこのマンガを読んでTV版を見直したりすると、
その作画のあまりのヘコさに驚くことでしょう。
ガンダムサーガは、スタートレックシリーズに比肩しうるほどの伝統文化ですが、
いくらがんばってもオリジナル第一作を越えることはないと言う
セオリーを再認識させられます。


「Drリアンが診てあげる」 1 竹内元紀 角川書店



表紙だけ見るとその手のどぉっしようも無いロリ本にみたいですが、
(中身をパラパラ見てもそう
からっと突き抜けたギャグマンガです。
濃縮され小技の効いた笑いは、主に画面の隅っこの書き文字にあったりするのであなどれません。
設定もストーリーも何もかもいいかげんですけど、
そのいいかげんさ加減がもし計算ずくだったら、ちと怖いでしょう。
このすっとぼけた感じは、作者の天然ボケに由来すると思います。
個人的には今現在のギャグマンガベスト10に入れてもいいと考えます。


「ピアノの森」 8 一色まこと 講談社 



音楽を扱うのにマンガは適していません。
昔「ロッキンコミック」というロック専門の漫画誌がありましたが、すぐポシャリました。
「誌面から音楽が聞こえてくる」というレベルまで達するのは至難です。
しかし、この作品からは、確実に音楽が聞こえます。
優しそうな絵柄とうらはらに、作者は一本筋の通った主張のある人です。
「花田少年物語」の映画化時にキャラクターの描き方でもめ、中止に至った事もありました。
小山ゆう、山本おさむと同じく、少年少女の心理や成長過程を描く事がライフワークなのでしょう
「ヤンマガ・アッパーズ」における清涼剤ですね。


「カネヒラデスカ?」 金平守人 エンターブレイン



これもその手の本かと思うと大間違い、「」って書いてますし。
前作の「かねひらだもの」では成年指定に偽装したものの、本当にそのコーナーに入れられていました。
てか本屋で見かけることもまれですが・・・・。
毎作絵柄を変え、切り口を変え、アイデアをひねりまくる手間のかけ方は、
上野顕太郎」「唐沢兄弟」と共通する業の深さを感じます。
ちょっと斜に構えた半ヲタクの方(おれかよ)には、痛いほど突き刺さる笑いです。
残念なことに評価は高くとも売れませんけどね。
この中の「史上最低最悪の作戦」が、個人的に大好きです。
ここまで絵が上手く器用貧乏な(失礼)方ですから、
今後どの方向に進まれるのか、その選択が気にかかります。