マンガレビュー3月分

「自殺サークル」 古屋兎丸 ワンツーマガジン社



この作品は、同名の映画とのコラボレーションですが、
あまりにこの作家の方向性が一致しているため、オリジナルとして楽しめます。
いや楽しめるだろうか・・・・・。
いま私は「メモライズ」と言う日記サイトで日記を付けています。
その中のの1/3はこのマンガと同じ様な「精神系」日記です。
ある意味、閉ざされた居心地の良い空間・・・・名目上は世界に開かれた・・・・
しかし箱庭のようなうす気味の悪い場所・・・・そこに住まう住人にとってはこのお話はあまりに痛すぎる。
・・・・イタイと感じるか共感するかによって、その人の運命は大きく変わるかもしれません。
気を付けて奨めましょう。
怖いです。


「アベノ橋魔法☆商店街」 1 画 出口竜正 講談社



最初「ガイナックス」が新しいアニメを企画しているらしい」と聞いたとき、
あの怪作「フリクリ」の後ゆえ、そうとうひねって来るであろう事は覚悟していました。
「モーニング」で鶴田謙二が、そしてアニメが始まっても、その全容はようとして知れません
お話を要約するととても陳腐な物になってしまいます。
やはり裏の裏の裏をかかれて、良いようにあしらわれているのでしょう。
「何故この作家に描かせるのか」ということも含めて、
術中にはまるしか無いようです。
不思議と一番健全な作品になっています。


「天才柳沢教授の生活」 18 山下和美 講談社



おそらく読み切りのお話から、良くここまで連載が続くものだと感心
だんだん柳沢教授が超人のように思えてきました。
教授の人脈の広さは、「美味しんぼ」の山岡とタメを張ります。
それを威に借ることになく、悠然とマイペースを貫き通す。
古風であるがゆえに、現代に失われたヒーロー像を具現化しているものと考えます。
ただ、これ以上踏み出すとリアリティーが失われ、別の作品に変貌してしまいます。
ギリギリにところで踏みとどまれるのが、山下和美の力技でしょう。
このままライフワーク化するのでしょうか。


「セラフィックフェザー」 7 画 うたたねひろゆき 講談社



お話は遅々として進みません。
6巻から続けて月帰還船内での戦闘シーンにまるまる費やされています。
表紙で遊んでいる場合ではないでしょうに(笑)。
もう7巻ですが、まだ全貌はのまま。
完結まであと何巻続くのでしょう、気を抜くとカット以外に色気が無かったりします。
作家としての本領を忘れずに(?)、もう少し加速した方が良いかなと・・・。
かなりの遅筆なのに、色々仕事を拡げられているようで、
要らぬお世話ですけどね。


「STOP!ナデシコさん」 1 本多健志 小学館 



テンポが素晴らしくよいです。
色気もなく絵柄も古いですが、ヌケが良くギャグはとんがってます。
一日二回時間を10分だけ止められる超天然ボケ女子高生「ナデシコ」さん、
その気になれば世界をも変えられるのに、そんな能力の重要性には全く気付かず、
おまぬけな事にばかり使い、事態をより悪化させる。
この作品も「サトラレ」のように、アイデア一発で抜け出た感がありますが、
いやいやどうして毎回ますます冴えて来ました。
一番苦労していると思われるのは、時間を止めるための「最近心に留まった出来事」と、
動かすための「どうでも良いニュース」の微妙な差
おそらくこのためにネームを考える時間の半分は取っていることでしょう。


「みこと日記」 あろひろし 集英社



なんと申しますか、玉砕って感じがよく解る作品です。
ビッグマイナーのベテランあろ氏ですけど、
やはりジャンプ系は敷居が高い。
いつも斬新なアイデア勝負のギャグが信条の人ですが、
特にこの作品にはいろんなウケ要素が詰め込まれていました。
それゆえ打ちきり決定後の一話は、なだれのようにたたみ込んでいます。
ジャンル的には「うる星」パターン(みもふたもない)です。
ちゃんと作れれば面白かったような気もしますが、
張り切りすぎの感も否めません。