「マリイの奏でる音楽(上)」 古屋兎丸(ソニーマガジンズ

圧倒的なイメージの連続です。
ヘタなファンタジーにありがちな”甘さ”はありません。作者初の長編だと思いますが、
すみずみまで行き届いた世界の構築力に作者の妄想の深さがうかがい知れます。下巻が楽しみ


「鱗粉薬」 津野裕子(青林堂)

 作者三作目の作品集。個性の強いガロにあって、
ケレン味のない透明な画風は今風ですが、内容は難解です。
おそらく女性誌などからオファーがたくさんあると思いますが、
ガロ以外で見かけたことはありません。





「クーデタークラブ」 松本光司(講談社)

 ヤングマガジンは読んでいませんので、ジャケ買いです。
絵は生理的にはちょっと気持ち悪いのですが、どう進んでいくのか分からず気になります。
この作者の一作目「サオリ」も買いましたが、これも面白く、もしかすると大化けする可能性もあります。
「殺し屋1(イチ)」の山本英夫の様な進化を見せるかも。



「ハトのおよめさん」 ハグキ(講談社)

ちょっと前に出たギャグマンガです。
音楽にたとえるなら、手塚治虫はクラシック、吾妻ひでおはロック、
吉田戦車はラップってカンジで、ハグキはノイズでしょうか。
これ以上一歩でも先に行くと、誰もついて来れないでしょう。
無調、無テンポで、まさしく現在のギャグマンガの先端にいることは間違いありません。



「チマタのオマタ」 朔ユキ蔵(ワニマガジン社)

エッチ系です。本当にエッチ系の本は、いつ出るか分からないし再版もほとんどないので、
思い切ってジャケ買いしますが半分はハズレです。
これはまあ、半分は当たりかな。
絵は、江川達也の影響が大きく、もしかしたらアシ経験があるかも。   
テーマの取り方、切り口共、非凡なものを感じます。



「おまかせピース電気店(22巻)」 能田達規(秋田書店)

今や斜陽の秋田書店ですが、以前はバラエティに富んだ新人を多く輩出したものです。
今でも時折、突然変異のようにすごい人が出てきます(山口貴由、西条真二など)。
この作家は正しい少年マンガの王道を歩み、また、正しいSFプロパーです。
ストーリーに破綻はなく、設定や伏線も使い切ります。
集英社的な勝負に走らないところも、好感が持てます。