マスターお薦めマイナー作家


(一部「この人はメジャーだ!」とお叱りを受けるかも知れませんが、あくまでビギナー向けです。)

むらかわみちお

 第一作目の「還相(げんそう)」では、絵柄やシチュエーションに実験的な試みが多く
両端を切り取ったようなストーリーは難解でめまいすら覚えます。
SF、ファンタジー、エロ
(これはこの本が成年コミック扱いされているからですが、けっしてヌケません)
どのジャンルにいれていいのか解らない、
作者独自の世界観があるのでしょう。
.後書きなどを読むと哲学的でますます解らなくなります。
2作め「ringret(リングレット)も、どんな話だったか一言で説明できません。
でも絵はステキです。

(伸たまき)獣木野性

 突然P.Nを変えてしまった、何考えてるんでしょう。
パームシリーズ(青また青、2821コカコーラ含む)
以外の話を読んだことはありません。
最初から完成された硬質な絵は、
特に男性には取っ付きにくいものかも知れませんが
、読み込めばこれほど懐の深い作家も数少ないと思います。
大胆なモンタージュ法を用いたち密な構成は、
何の破たんも見いだせません。
パームシリーズは現在26巻まで出ていますが、
(2001 2月現在)なんと14巻でラストがすでに描かれています。
並みの作家ならいちばんおいしいと思うこの部分を、
いともアッサリと出してしまうところに、
この作家のクールさと自信がただよっています。
家族の話であり、アウトサイダーの話であり、
ラヴロマンスであり、やおいであり、
SFでもファンタジーでも(最近はエコロジーでも)
あるこのジグソーパズルの完成を、
生きているうちに見たいものです。

  米村考一郎

 この人も絵が上手く、 萌えもありますがなんといっても話が難解。
どれくらいかというと士郎正宗よりちょっと上くらい。
「ミッシングゲイト」「妖精探偵社」「蓬来学園の疾走」
などありますが、なんといっても
「ポゼッショントレーサー」。人の潜在意識の下へダイブして
憑依するというアイデアもさることながら、
それを絵にできるとは思いもよりませんでした。
SF的発想力はマニアをもうならせるでしょう。

岡田史子

 実は私個人としては、マンガ家で真に天才と呼べるのは3人だけと考えています。
その一人。古い作家ですが、コムが生んだもっとも偉大な作家です。
「ほんの少しの水」「ガラス玉」「ダンスパーティー」この3冊だけです。
1作毎に絵柄を変えた実験的な作風は、
その後の女性マンガ家に多大な影響を与えました。
初期の柴門ふみなどに顕著に現れています。
瞳の描き方が毎回変わり、その時々の彼女の心理状態が知れるようで
少し怖いような気がします。
数年前、未収録の作品とともに復刻版が出て、新作を発表するとの噂がありましたが、
結局出なかった様です。

高野文子

天才2人目、この人はまあ有名ですけど、
漫金超で「田辺のつる」を見たときはアタマをハンマーでガーンと
一発やられたくらいショックを受けました。
こんなのありか?と。
「午後10:00の家鴨」は、わずか10ページなのに、
30回くらい読み直しました。妙に心に引っかかる作家です。

大前田りん

3人目、なんといっても「ガケップッチカッフェー」
モーニング連載中は、10回づつ読み直してました。
どのセリフ、背景の線一本に至るまですべてに意味があり、
過不足なしです。マンガ表現のひとつの完成形であり、
現時点でこの作品を超えるものはないと断言します。
しかーし!この作品は未完成であり、一巻分に満たない第二巻は出ていません。
「体調が悪いので、ちよっと故郷へ帰りまーす。」
と朗るくハシラに書き残した後、消息不明となりました。
ネット検索にも有益な情報は引っかかりませんでした。福山庸治の「ガムランカン」も、
一年半の中断の後突然再開されたので、ずっと心待ちに待っていたのですが、
ついぞその想いは報われることはありませんでした。
このように、私が「この人はすごい!」
と思った作家は突然`消えて、しまうことが多く、
どうもアブナイ人を好んでファンになってしまうようです。
「ねこぢる」は本当に`消えて、しまいましたし、
「岡崎京子」はリハビリ中、「内田善美」は過去を消してしまいました。
他にもアブナそうな人が10人ほどいます。
思うに、この人たちは身を削って描いているような気がしてなりません。
「十六桜」「上原よよぎ物語」「ヘイセイキッド」も読んでいただきたい。

新谷明弘

すごいヘタな絵です。
どのくらいかと言うと諸星大二郎のちよっと下ぐらい。
さりげなく高度な発想のSFを描く人です。
でもきっと活躍の場は少ないことでしょう。
こんな人を載せられる雑誌が欲しいものです。

明智妙

恐ろしく残酷な話を描く人です。
フワフワした少女マンガの線にダマされてはいけません。
山田ミネコなん かもそうなんですが、
男性にはとうてい思い付かない苛酷な物語を作る人です。
「サンプルキティ」がお勧め。

大野安之

ガサツな線、変化する等身、放り投げたようなオチ、
編集者には評判が芳しくない様です。
「マンガ劇画村」のカンバンは、西村しのぶや高橋留美子の表紙とこの人の
「That'sイズミコ」でした。異世界の描写は圧倒的で、
独自の大野安之サーガを造り上げています。
「scene」「ゆめのかよいじ」では少女のエロスを見事に描写、
「精霊伝説ヒューディー」の続きが楽しみだったのですが、
最近絵柄を大きく変えてしまいました。どこまで本気か冗談か解らない人です。

園山二美

この人も現在描いていません。
「蠢動」「続蠢動」の二冊のみ。
まさしく、うごめく彼女の心の中をそのまま描いたお話は、
ふきだまり、ビームからも大きく浮いていました。
復活を祈ります。

小だまたけし

「平成イリュージョン」しか読んだことはありませんが、
発想は特筆すべきものがあります。これからに期待。


杉本啓子

熱いナイフでバターをスカッと切るようにえぐり込んでくる、
サイコホラーの作家です。
無駄な線や背景は、いっさい省かれていてとても冷たい印象を受けます。
ずいぶん以前からもう見かけません。
「リタだれを待つ」「空中庭園」「夢幻宮」

笠太郎

「鬼政」「花板虹子」等。
職業柄、食べ物を扱ったマンガは好きなのですが、
この人はコテコテの劇画です。
このてのマンガの面白さとは、「静かなるドン」「カイジ」
等と同じ絵も話もきたなくてキライだけど、
下品な味のモツ煮が好きみたいなもんでしょうか。

近藤よう子

決してマイナーではありません。
40冊ほど著作がありますが、ほぼ全部買ってます。
マンガ世代が加齢するにつれ、青年誌、成年誌と上昇して行き、
いずれは老年誌が出てくることは間違いありません。
その先駆けとなるべき、老人のかける作家です。
私の好きな中島みゆきと共通する感性を感じます。この人は高橋留美子と同級生ですが、
2人の行く道は大きく隔たったようです。

伊藤重夫

ガロ系に見えますが、「夜行」系です。マガジンに載った事もあります。
感動してファンレターを書いた唯一の人です。
後で、うちの漫画家志望の客のおじさんだったので、
驚きました。その後、別の客が仕事で訪れた先の
デザインスタジオの社長がこの人だったので二度びっくり。陰が印象的な作家です。
「チョコレートスフィンクス考」「踊るミシン」

津野裕子

青林堂元社長、長井勝一にして十年に一度の天才と言わしめた人。
透明で細密な絵は今風ですが、話は難解です。
“消える”作家にありがちな“感性”で描くタイプではなく、
理性的です。「デリシャス」「雨宮雪氷」「鱗粉薬」

羽生生純

「恋の門」は オタクにとってはとてもイタイ話。
ビームなくしてどこがこの人を載せられるでしょう。
本のオビのとおり、問題作を書く問題の人。

堀内満里子 (火野妖子)

この人は単行本出てません。平口広美という
ドぎついエロマンガ家が実は深窓のお嬢様で、
“美女はそっと汚物に口づける”
なんてウソにだまされたことがありましたが
(本当はボーズのレスラーみたいなおっさん)。
この人は、自分のことを 「わたくし」と呼ぶ本物のお嬢様です。
SM誌や自販機本などにカットやマンガを描いていましたが、
ものすごくエッチでした。
メジャーを目指してチャンピオン用に5本描いたマンガは全てボツになり、
レモンピープルにしか載ることはありませんでした(理由は、暗いから)。
数年後、コミックばくに私小説のような初体験マンガ
「シークレットロマンス」が載りましたが、
あらためてその力量に驚かされました。
これほどの作家に発表の場がないことが残念です。
コミックボックス等に日記マンガを描いていましたが、
ぜひもう一度作品を読みたいものです。