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「吉野ーーー!!!」
まさか近鉄吉野線の吉野神宮駅の近くだったとは・・・。
実は1年以上前の20年の5月、第2次探索として咲の別の扉絵の舞台を求めて吉野線を遡ったことがあります。その時折り返し点で降り立ったのが吉野神宮駅でした。帰りの列車が来るまでの時間、駅周辺を散策しており、もしこの時現場を通りかかっていれば特徴的な風景を覚えていて5巻の発売と当時に場所を特定できたかもしれません。過ごした時間と歩いた距離がのしかかってくるようで複雑な想いを胸に車を吉野路へ向けます。
時に平成21年8月18日(火)、遅い盆休みの最中の第7次探索です。
吉野川沿いを進む国道169号線から離れ吉野大橋で川を渡るとそこが吉野町の中心地域となります。県道が行き着く先に吉野神宮駅があります。集落内の道路は幅狭いので車を停めようとするとどうしても駅前の小広場になってしまいます。
車を停めて駅前の道を下ってゆきます。道路はすぐに左に曲がりますが石段がまっすぐに続いており下って行けます。下るに付け木の香りが漂ってきます、路地にはいるとそれは空気中に漂う大鋸屑粉に代わり鼻や喉に異物感を感じます。辺りは吉野杉の製材所が集中しており材木、大鋸屑、チップというあらゆる木製品の原材料が生産されています。
進んでゆくと小径の右手には近鉄線の土手、左手には木造の建物、上空には銀傘・・・、そこを抜けた小さな交差点では・・・。


© 2009 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX
全く同じ光景が展開されています。ここを特定されたお二方に脱帽です、お見事でした。
さて答え合わせです。
【1 土手上は道路】
【番外:「岸が道路の天井川」】
全くの見当違いでしたね。トンネル上は近鉄吉野線の単線線路でした。
「柵のようなものと電信柱のようなものが見える」のは保線要員の防護用と架線電柱でした。引いた画像で見ればトンネル上が鉄道軌道であることが一目瞭然で、途中で切ってある為に全く違う判断を下していたわけです。

【2 左側道路は土手上に登って行く】
鉄道土手なので交差しませんね、道はそのまま吉野川河畔に出ます。
【3 土手は集落の中を横断している】
正解でした。トンネルの向こうにも製材会社がありますし、小学校や神社なんかもありました。 【4 右手の建物は倉庫か荷捌き所】
右手の建物も製材所ですが正に道路兼荷下ろしの場所として使われていました。

撮影は交差点の横断歩道の上、左寄りの位置から携帯電話のパノラマサイズで撮影しています。
ですから実際には交差点の奥行きは思ったより狭いです。
また平日は製材所が稼働していてトラックやフォークリフトが頻繁に行き交っていますので邪魔にならないように撮影する必要があります。
さあ、一つは見つかりました。ではもう一つは・・・?
『咲 -SAKI-』の場合、登場しているキャラクターの背景は学校等の括りで特定の地域のモデルが集中されて使用される傾向があります。
例えば、鶴賀学園→長野市、風越女子高校→飯田市、清澄高校→諏訪地方などですが、今回は中学生バージョンの和が両方同じ制服姿で描かれており素直に考えるとこの周辺に特典カラーイラストの背景も有りそうです。
ですが吉野の町は吉野山系を穿つ吉野川の河畔に細長く広がる地域、山に囲まれた谷間の集落では『立地が山か丘の稜線上もしくは鞍部に近い場所』という条件を満たす小高い丘もなくどうしても背後に山が映り込んでしまいそうです。周辺を歩いて回ってもそのことを確認するだけでした。近鉄線の終点・吉野駅周辺でも恐らく同じ状況でしょう。
少々途方に暮れて吉野神宮駅に戻って駅前の土産物屋を眺めます、『吉野葛(よしのくず)』を使った菓子類に混じって『吉野山』「千本桜』のキャッチが入ったおみやげも幾つか・・・。「『吉野山』・・・?」
振り返ると駅前の道路がそのまま山を登って行くのが見えます、案内標識は『吉野山』とあります。
「!?」 桜の名所吉野山・・・、観光ポスターでよく見る吉野山山頂付近の様子が思い出されます。狭い稜線上に居並ぶ建物群とその向こうの山を埋め尽くす桜花・・・。条件に合うのではないか?
とにかく確かめてみる価値はありそうです。
そう思うと車をお山に向けて走らせていました、既に日は傾きはじめ朱色が混じる時間になっていました・・・。
〜ラストステージは天空の迷宮(ラビリンス)〜
吉野神宮の門前で「県道15号 桜井明日香吉野線」となるこの道路は、吉野神宮まで一気に登り切るとそこからは吉野山系の稜線上を進んで行きます。途中「村上義光の墓」がある吉野山駐車場では広く開けた場所がありますが、そこを過ぎると急に道幅が狭くなり離合するのもやっとな門前町の参道の様相を顕してきます。狭隘な稜線上に敷設された金峯山寺への参道の両脇には飲食店、土産物屋、旅館等が軒を連ねていますがそれらの多くの基礎部には土地がありません。急峻な斜面に柱を穿ちそれを支えに家屋を斜面にせり出す工法で平坦地を確保しているのです。

そして稜線上から一段下がった場所に斜面にしがみつくように建つ民家が数軒寄り添う小集落が幾つか存在しています。これらの小集落の中には廃園になった幼稚園も有りましたので吉野山全体としてはかなりの規模の住民がこの山上で生活しているものと思われます。
小集落内は人一人が歩けるほどの小径(山道)で各家々が結ばれており、稜線上の参道からは1〜2本の石段や小径で連絡されている状況でした。
参道上はとても車を停めるような余地は無かったので一旦メインの金峯山寺を抜けて中千本の休憩所前に車を停めました。この時点で既に16時半を回っています。
まずはここから参道に沿ってロープウエイの乗り場までの約1,8kmの区間の探索を開始します。途中からは参道を外れて幾つかの小集落内を進みます。小集落は斜面に沿って、民家が横に連なっていたり、逆に谷へ向けて段々畑j状に下っていったりと形状が多様で鞍部における窪地の集落では小径が幾つもに分岐しておりちょっとした迷宮を作り上げていました。
おまけにこれらの小集落は各々の小集落とは独立しており、参道とのみ連絡している為に一つの小集落を見る度に参道と最下層の民家まで急峻な斜面をアップダウンを繰り返すことになりちょっとした運動になりましたね。
そんな小集落の中の一つを探索して参道に戻る途中でこんな風景に出くわしました。

建物が違っていたり曲がり方が逆ですが基本的なアイテムの構造は良く似ています。

そうこうしている内にロープウエイの乗り場に到着、この時既に18時を過ぎています。
あと30分もすれば山頂のこの周辺でも夜の帷に包まれてしまいます。
探索していない小集落や寺社の境内もまだ幾つも残っていますが、ここは一旦引くべき状況でしょう。安全面のリスクも高まりますし、仮に見つかっても暗くなれば撮影や周辺調査もできず意味がありませんから・・・。
後ろ髪引かれる思いで参道を引き返し、この日はお山を後にしました・・・。
決戦、吉野山!!
帰ってこの日の成果を元に特典カラーイラストの背景について再考してみます。
『咲
-SAKI-』の舞台においては作者の小林立先生自身が取材されているというのが定説で、その際車を利用していることが高速道路のインター近くに舞台が点在する傾向が有ることを考えると窺えます。
仮に最終目的地が吉野山だった場合、車を利用した場合には私が通ったルートと同じく橿原・明日香方面から国道169号線を進み吉野町に至ることになります。この時吉野川を渡る橋の上からは近鉄線の大鉄橋が目に入ってきます、これを撮ろうとすると自然と吉野神宮駅前に車を停めて川に向かって歩いて下ることになり、これまた自然にカラー見開きイラストの背景へと至ります・・・。「吉野山説」を考えた場合一応、筋書きは立てることができます。
また探索途中で見つけた石段風景も「石段の造り」「排水管」「手すり」「石垣」「背後の山の映り込み方」等々各パーツの一致度はかなりのものです。少なくとも同じ土木技能を持った集団が作り上げた光景と断じて良いように思えます。
吉野町周辺はgoogleの地図では詳細な航空写真は得られませんが、幸いyahooの地図では可能でした。これにより参道から延びる小径と小集落の位置を確認でき、思った通りまだ確認していない集落が結構あります。
いろいろな断片情報が「吉野山」を指し示しています。
「間違いなくあそこにある!」確信が沸き上がってきました。
3日後の8月21日金曜日、第8次奈良県中部域探索の為に朝から再び吉野山に向かいます。
今回は参道手前の無料駐車場に車を停めて入り口から歩きます。平日の朝の8時、野鳥の声が響くだけで参道には人影はありません。営業している旅館のロビーでは遅出の観光客がのんびりとくつろいでいるのが見えます。途中で幾つかの小集落を見つつ、第1目標の小集落の入り口を目指します。
ここは前回入り口の石段に材木が置かれて入れなかった集落で、窪地のような地形に網の目状に広がっているのが特徴です。
目的地に到着すると躊躇することなく参道から降ります。ここにあるかどうかは確信はありませんが、とにかく探索し一つ一つ潰してゆくしかありません。
短い石段を下りると小径が幾つかに分岐しています、分岐した先には民家がありますが中には更に分岐して奥へと続くものもあります。とにかくここはメインロードと思われる小径をひたすら進むことにします。そして終点まで行けばそこから順に枝道に入ってゆこうと考えます・・・。
斜面に僅かな平坦地を掘削して建てられた民家の軒先を小径は遠慮無くかすめて行きます、人一人が通れれほどの小径は公共の道なのか?それとも民家のお勝手なのか?判然としないまま続いてゆきます。既にプライベートな空間に踏み込んでいる感覚が大いにし、もうここで引き返すべきだと感覚が警鐘を鳴らします。
おそらく前回でここを訪れていたのならここらで引き返していたに違いありません。しかし今回は「この吉野山にある。」という確証がそれを思いとどまらせます。
明らかに続く道を進みます。(打算的ではありますが、もし住民の方に咎められることになっても「散策中の観光客が迷い込んだ」風に装えるのではないかと・・・)
そして祠の横を過ぎて石段を下った所で下から犬に吼えかけられました。左巻きの石段が下りきった先に簡単な門と庭がありそこに繋がれた白い中型犬が突然現れた闖入者に警鐘を鳴らしています。どうやら集落の最下層の民家に行き着いたようです。
犬に向かって手を振って敵意が無いことを示してやると、良くあることなのか犬は吼えることを止めその場にうずくまってしまいました。助かりました。
ここまでかと思い、戻ろうと石段上で踵を返せばそこには・・・。


© 2009 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX

(平成21年10月末撮影)
・・・求めてやまぬ光景がそこにありました。
「!!!!?」思わず特典カラーイラストのカードを取り出し見比べます。間違いありませんここが舞台です.
そして思わずこんな本音も漏らしてしまいました。
「こんなの絶対にわかりっこな〜〜〜〜〜〜〜い!」。
やはりゲームだったのか?
では気を取り直してこちらも答え合わせをば・・・。
【1 石段と石垣の存在】 → カーブしているのはやはり斜面の援化策。 【2 ネットと排水管の存在】 → 左手の畑は栗畑。 【3 電柱と街灯の存在】
→ 夜間の交通路どころか唯一の道
【5 背景左側の森林の存在】→ 稜線近くなので山が映り込みません。
考え方はほぼ正解でした。
しかし肝心の・・・、
【4 石垣先端の木造小屋の存在】
・・・ですが、これは大外れ、件の建物は「トイレ」ではなく「祠」でした。実際は人が入れるほど大きくない代物でした。(笑
イラストでは手前の和に基礎部分が隠れてしまって大きさを見誤ったわけですね。
逆に街灯を取り付けた電柱はコンクリ製の結構太い物で個人で建てたと言うより自治体で設置した物のようです。

イラストとの相違点は全般的に草に覆われていることと、祠の下に物置らしき物が増えていることでしょうか。イラストの様な植生は芽吹きが始まる直前、春先のように思えます、和の制服もカーデイガン着用の間物の上に多少崩れた感じのする着こなし(新入生ぽくない)からみても3月くらいの春休み直前の様子ではないでしょうか。
また物置の方は比較的新しいものの扉の前も含めて草に覆い尽くされている状況を見ると春頃に造られてそのまま放置されているようです。この2点は作者が取材をした時期を推測するのに良い手がかりになりそうです。

現場は小集落の一番奥、犬が繋がれていた家の為に造られた小径、長い歴史を持つ持つ吉野山でもそこには特別な史跡も無くまた麓からの登山道も無い行き止まりの道。
仮に観光客が散策で迷い込んでも民家の軒先を通る辺りで引き返すことが容易に想像できる場所です。
私がここまで踏み込めたのは様々な情報を検討し前回の探訪で類似の風景を確認して舞台がここにあるという強い確証を持った決め撃ちであったからで、半ばカンによって探索した前回にこの集落に踏み込んでいたなら恐らく途中で引き返していたと思います。
これは同時に「何かの拍子に偶然に場所が特定される」、例えば観光協会のサイトやトレッキングサークルのブログ等に掲載された写真に映り込みそれが探訪者の目にとまるという可能性が殆ど無いと言うことを示します。
そんな風景を何故作者の小林立先生は「奈良にいた頃の〜」というタイトルを付けたイラストの舞台にしたのでしょうか?
奈良の、とりわけ吉野の風景であることをアピールしたければ金峯山寺の山門や中千本からの満開の桜花をバックにした風景などいくらでも選ぶことができます。それに先のカラー見開きのイラストにしてもせっかく『吉野杉』というブランドがあるので「製材所」を前面に立てた構図で描くこともできたはずです。
「奈良(吉野)でなくとも、他の地域でも描けそうな風景」を「奈良(吉野)の風景」として認知するように読者に強要する理由・・・。
「わかるかしら?”のどっち”が育った場所が・・・」(部長風に)
そんな小林立先生の呟きが聞こえてきそうです。
情報を集めて、探し回って、鍵(見開きカラー)見つけて正しい道を進んで初めて得られる答え・・・。
私にはこの第5巻がやはり小林立先生が仕掛けた宝探しゲームであった様に思えてなりません。
(記事追加 21.11.2)
そしてゲームは、
まだ終わっていなかった?
下の「探訪備忘録 その2」で「おそらく『のどっち奈良物語』は今後1度くらいは番外編に登場するのではないかと」等と書いておりましたらいきなり出ちゃいました、それもDVDBOXの箱絵として・・・。

© 2009 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX
キャプ画はアニメ版DVD第5巻の特典DVDBOX、これの告知としてヤングガンガン誌上に掲載されたイラストです。(画像右上の白地と「イ」の字はアオリでイラストにはありません。)BOXの表面をモミジ等の紅葉を背にした咲が、裏面を桜を背にした和がそれぞれがんばっています。イラストは小林立先生書下ろしで、最大の特徴は見てお分かりのように制服姿が中学生(吉野仕様)バージョンであることです。
(表面の咲も中学生バージョンです。)
このことからも背景の現場が吉野であることが容易に想像できます。
ほかの特徴としては「斜面とそこに寄添う家屋」「階段上には道路と木の道標」「石垣と桜木」などが挙げられます。
吉野ということであれば麓か吉野山かということになりますが、斜面の急峻さ家屋の寄添い具合からみるとどうも吉野山の上のように思われます。そう考えついたところで一つ気付いた点が・・・。
「階段上には道路と木の道標」の道標、和の右耳あたりに描かれたこれって・・・。
↓これじゃね?
よく見れば階段の手すりもトタン屋根も家屋も写っていますね。
実はこれ、上の探索で貼った画像の場所です・・・。(汗
(「吉野みやげ」の看板左)
こちらの方にも石垣もその上には樹木もちゃんとあります。

この場所は吉野山の参詣道の途中にある「銅の鳥居」と呼ばれる場所です。
あれ?あれ?・・・これって?
場所が特定できれば後は現場を確認するのみ・・・。・・・ということで10月末日の土曜日、朝の7時に現場に立っていました。そして現場から見上げた画像がこちら↓です。

石垣上の鳥居や石灯籠が和や桜花に隠れていますがほぼ一致です。
ただ私のコンパクトタイプのデジカメだと上下の画角が取れていませんね。
もうこれ以上下がることができませんでしたので、麓の現場と同じくここでも広角レンズで撮影されているのでしょうか。ちなみにここでもしゃがんで撮影していますので視線はとても低いです。
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現場は参詣道から窪地に寄り添う小集落へと連絡する階段です。入口に看板が上がっているとおり観光客相手のカフェ&雑貨店が集落の入口(現場のすぐ後方)にあり人の往来は結構ありそうです。
・・・とここまで話をしているのですが、実は現場に着いてからずっと何か違和感を感じておりまして、何でだろうかと何度かキャプ画と見比べてやっとあることに気が付きました。
「これって桜・・・?」
キャプ画で和の背後に咲き誇っている桜花、現場でも石垣上に樹木が確認できますがこれが桜の木に見えないのです。
急いで階段を駆け上って石垣に近寄ってみます。
”!”
「あーーー!これモミジだーー!」

・・・モミジを桜に見立てて描いていたのか。
ひょっとして2本目の鍵だった?
ちょっとこれは想定外です。
基本的に「咲」における背景では遠近の誇張や一部分の簡略はあっても地物は正確に描かれているからです。今回のように別のモノに置き換えられている例は確認されている範囲ではちょっと思い当たりません。
そんな背景が置き換えられていたわけですから「桜」が何か特別の意味が込められているのでしょうか?

© 2009 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX
ここで改めて特典DVDBOXの絵を見てみましょう。アニメ版DVD1〜5巻を収納する背表紙を中心に左右に咲と和が描かれています。咲の紅葉と和の桜花、秋と春を表現しているようです。こちらの絵はヤングガンガンの誌上から引用したものですができあがりの美しさは容易に想像できます。
ですが『テレビアニメDVDシリーズの収納BOX』としては”かなり変”ですよね。
まずヒロイン二人が共に『中学生バージョン』で描かれている点。アニメの方では原作では番外編として登場した二人の中学校時代の回想は登場しません。
次にアニメの本編の季節は8月のインターハイの前の『初夏』ですが、春秋の絵と明らかに食い違います。また背景となっている場所が全く登場していません。
これらの”変”を見直してみると、本編と全く関係ない表紙やカラー口絵を採用する点でまるでマンガ版の単行本のようです。
単行本に掲載されたイラストとして考えれば一見無関係なイラストもどこかでアニメ本編と繋がっているのでしょうか?
その点では今のところ不明が多いのですが、和の方のイラストに関しては【奈良物語シリーズ】としてみた場合の仮説は立てることができます。
注目点は和の左手に握られた学生鞄です。この左手に鞄と制服姿の組み合わせそして吉野山山上・・・、これは上で紹介した『特典カラーイラスト』そのままです。
麓の『5巻巻頭カラー見開き』では鞄を持っていませんから、山上の2枚は連続した作品であると考えられます。家族の誰かが和が学校から帰宅してきた所をパチ♪パチ♪と撮影した内の2カット・・・、そんな感じでしょうか。
この連続した2カットを比べてみると特典カラーイラストの方が現場状況以外で場所を特定する要因が殆ど無いのに対し、今回のイラストは参詣道の直下で道標が描かれておりそしてなにより『桜』が描かれています。
つまり場所を特定する要素が格段に増えているのです。特に『桜』は「奈良県 桜 山」で検索すれば吉野山がトップに出てくるほど重要なアイテムです。
このことからそもそも【奈良物語シリーズ】のイラストは先の2枚の他にも複数枚描かれており機会を捉えて順次発表されてされていくという可能性が出てきました。さらに『桜』もこのシリーズの舞台が吉野であることを示す為にあえて描かれたものではないでしょうか?
となると和の台詞から始まった宝探しゲームにおいて傾斜地等の他のイラストからの情報と併せて「奈良県」→「吉野山」へと地域を絞り込む第2の鍵ではないかと思えます。
マンガ単行本第5巻発売から約半年、【奈良物語りシリーズ】第2弾としてこのイラストは小林立先生の意向で投入されたのではないでしょうか?
そうですゲームはまだまだ続いているのかもしれません。
(まあ、「それをDVDBOXにしかけるか?」って疑問は大いに残りますけどね。(笑)
こちらはDXD最終巻に付いてくるであろうもう一つのDVDBOXの絵に注目ですね。)
(追加記事終了)
(記事追加 23.6.26)
ゲームは続き、そして伝説へ
前の記事から1年半。この間原作の咲-Saki-では県予選が終了し、インターハイ全国大会での熱闘が始まっています。
並み居る強豪校の中で長野県代表として戦いに臨む清澄高校のメンバーは第1試合を危なげなく勝ち上がり、只今は第2試合の真っ最中。
(第2試合の相手、南大阪代表「姫松高校」に関する記事はこちらやあちらをご覧下さい。)
そしてこの記事に連動して注目を集めつつあったのが奈良県代表校『阿知賀女子高校』です。実はこの「阿知賀」という土地は吉野の西隣の地区名なのです。
ですからこの1年は阿知賀女子高校の追っかけをしていた次第です。
顛末はこちらをご覧下さい。→【私立 阿知賀女子高等学校】
阿知賀女子を追っかけていくと思い至るのは、「この記事に書いたことは阿知賀女子が決勝戦に進出する為の牌譜である。」ということです。
そして今回、単行本第8巻の発売に合わせてなされた重大発表にて・・・、

(c)2011 Ritz Kobayashi/SQUARE ENIX (c)2011 Aguri Igarashi/SQUARE ENIX
月刊少年ガンガン9月号から【咲-Saki-】のスピンオフ作品として阿知賀の話が連載されるという全く想定外のお話です。そして発表されたビジュアルには「奈良にいた頃の和 中1」と題されたイラストカードで和が纏っていたのと同じ意匠の制服を着た少女達が描かれていました。
小林先生の小さな仕掛けから始まった宝探しゲームはここに完結し、新たな物語を紡ぎ出すプロローグとなったのです。
番外編にも登場
単行本第8巻と同時発売された『ヤングガンガンビッグ Vol.02』に掲載された【咲-Saki-番外編】は原村和の中学生時代のエピソードでその前半は吉野での様子が描かれています。
まずは冒頭のカラーカットから。

© 2011 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX
桜が咲き乱れている様から吉野山の情景と判断できます、また開けた視界と奥に連なる山並みから吉野山稜線上に当たりが有りそうです。
それと注目すべきは、

小径の奥に描かれた街灯です。
この街灯は吉野山一帯で見ることができますが、主要な道路に配置されているもので住民が利用する路地や小径には一般的な蛍光灯型の街灯が配されているのです。ですから「稜線沿いに道路を登って行けば勝ったも同然」とケーブル駅から歩いて行軍を開始しました。
・・・で、かつて歩き回った経験から何カ所かの心当たりが有ったのですがいずれも空振りで、仕方なく歩き続けます。いつしか土産物屋や旅館が立ち並ぶ中千本地区を抜け、急峻な斜面に桜が立ち並ぶ上千本地区へと差しかかり、更に進んで金峯山寺を遙か眼下に臨む水分神社まで到達しました。この時夕時17時頃とは言え、気温30度位、行軍距離約3km超の登坂で息も絶え絶え状態で、これ以上の前進を諦めて引き返すことに・・・。
そして急坂を下りきって中千本の土産屋街に入る手前、何気なく道路の下に広がる崖の底に目を向けるとそこには小集落と件の街灯が・・・。もしやと思い崖下へ延びる小径を駆け下るとそこに目的の場所がありました。

草が茂っていますが間違いなくここが現場です、足下には朽ちて崩壊していますがが切り株も確認できます。
崖下とは完全に盲点でした、街灯が有る道路も主要道路ではなく引き込み線となる生活道路で対象外なものです。今回は電車で吉野入りし、歩きで回った為に偶然目に止まりましたが車で探索していたらちょっと気が付かなかった場所です。毎度のことではありますが「こんなの判るかー!」と叫んでしまいました・・・。(笑
お次は、番外編のフルカラー扉絵です。

© 2011 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX
咲風景のパターンの一つ「高架+鉄道」です。下の備忘録その1にもあるとおりこのパターンでは過去に散々振り回されましたが、今回は一見必見です。
上を走る鉄道が近鉄吉野線とすればこの様に高いところを走るのは六田駅から吉野神宮前駅の区間だけであるので吉野へ向かう列車の車内から観察しておりました。
すると六田駅〜大和上市駅の中間付近に該当する踏切を確認することが出来ました。

現場は国道169号をショートカットする新しい県道脇になります。吉野山から急ぎ下ったのですがそれでも現場到着は19時過ぎ、夏至の季節でも撮影はギリギリでした。この場所は吉野山とは吉野川を挟んで反対側でこれまで舞台が出ていない地区です。ここが扉絵にされて理由は如何に?
次に和の下校風景です。

© 2011 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX
比較的開豁した谷地の風景に思えます。水路等の水の流れを見ると和の進行方向が下りとなるようです。影の描きを信用すると画面奥が北側で有る可能性が高く吉野周辺では吉野川北側地域が該当します。吉野山山麓や阿知賀地区を含む吉野川南側だとすると西に延びる谷地となります。この舞台は今後の探索待ちとなります。
最後はおまけ記事になります。

© 2011 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX
番外編5P目描かれた場面転換のカットです。金峯山寺の山門と講堂が見て取れ吉野山山上であることが判ります。
ですが現場でこのカットを納めようとすると好適の場所が見つかりません。
何せ左右が急峻な崖地になった稜線が弧状に撓んだ場所越しに撮影されたカットなので撮影ポイントとなる場所でも山門と同じ高さになる高度が確保できないのです。
そこで帰宅後金峯山寺を基点に航空写真で検討すると・・・。

稜線から崖地に張り出すように建つ建物に交差します。
この建物は辰巳屋という旅館です。この建物の階上の部屋から撮影すれば恐らく同じ絵が撮れるという結論に達しました。それにこの辰巳屋さん上に記したランドマーク「銅の鳥居」の目の前にあるのです。つまりDVDBOXイラストの舞台はこの旅館の目の前なのです。
ここでも小林先生のお泊まり疑惑(笑)が浮上しますね。
これまでの舞台の場所はこちら↓のMAPで確認できます。

(追加記事終了)
〜探訪備忘録・吉野〜
その1
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© 2009 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX

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見開きカラーイラストの舞台はトンネル上の土手が何であるかの見極めが最大のポイントでした。
私はこれを道路(+天井川)とみたのは本編で述べた通りです。
もしイラストの構図がもう少し引いた図であればトンネル上の架線や電柱が描き込まれ正しく鉄道路線と認識できたでしょう。
これとは逆に「電柱が描かれていた為に判断を誤った」例があります。第21局の扉絵がそうです。
右端に描かれた架線と電柱の存在により鉄道路線に近い舞台と推測したまでは良かったのですが、その見え方から鉄道は河川堤防上に敷設され道路は鉄道に直交する橋・風越キャプテンが居るのは河川敷公園と推測して捜したのですが1年以上特定できなかった迷宮物件です。
それがこの6月に特定されたわけですが、その現場は橋でも河川敷公園でもなくただの窪地に通されたアンダーパスでした。そして件の鉄道路線は高架(土手)でその下を道路(国道)が潜っていたのです。
「描かれた電柱と描かれなかった電柱」・・・、イラストを描く上での偶然かはたまた意図された構図か?
皆さんはどう思われますか?
余談ですが、本編中にて以前に吉野神宮前駅まで探索に回っていた舞台というのがこの第21局の扉絵です。
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その2
© 2009 Ritz Kobayashi / SQUAREENIX


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今回吉野が舞台として登場しましたが、同じ奈良県内の舞台として先に登場している橿原市内の第31局の扉絵との関連はあるのでしょうか?
この扉絵は奈良と明記こそされていませんが画面手前のマンホールには橿原市を顕す意匠がしっかりと描かれておりここが奈良であることを暗に示しています。早くから探訪師匠のUSO9000さんは「これは和の過去を探る為に奈良を訪れた透華達の絵かも」と和が奈良出身の可能性を示されていましたがこれが番外編によって現実なった形です。
二つの地区は15km程離れていますが近鉄吉野線の駅からそれぞれ1km以内の場所であり、車でも大阪・京都・名古屋・奈良市とそれぞれの地域からでも国道24号線→国道169号線のルートで吉野入りし、その途中の岡寺駅前からは橿原ニュータウンへと続く大きな跨道橋が169号線を跨いでいます。
東京在住の小林立先生がメインステージでもない奈良に何回も通うとは考えにくく橿原の舞台と同時に吉野の舞台も取材したと考える方が自然ですね。
和の両親は検事と弁護士だそうで(第1話より)、橿原もしくは吉野からの楽に通勤できる裁判所は大和高田市の葛城支部(地裁・家裁)と大淀町の吉野支部(家裁)が該当しますね。
ここからは完全に私の妄想ですが両親は橿原市のニュータウン内の官舎に住み、和は事情があって吉野の親戚(おばあちゃんかな?)宅に預けられていたのではないかと・・・。
吉野の環境では麻雀を嗜む同学年も少なくその為に和は自然とネット麻雀の世界に没頭していったとか・・・。と色々と妄想できて楽しいです。
おそらく『のどっち奈良物語』は今後1度くらいは番外編に登場するのではないかと思います。その時妄想の答えが出ることを楽しみにしています。
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(記事追加 21.11.2)
その3
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アニメ版DVD第3巻にはピクチャードラマの第1弾が収録されており、その中で和が麻雀を始めるようになったきっかけは幼い頃に病院に入院した際に入院患者達が卓を囲んでおりそれに混ぜてもらったのが始まりだというエピソードが語られています。
もちろんその病院の場所や外観が出ていたわけではありません。
ただこの話を聞いた時に吉野神宮駅に程近い病院が思い浮かびました。
マンガ版の番外編としてこのエピソードが掲載されることがあれば答え合わせが楽しみです。
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以上、つたない探訪記をご覧いただきありがとうございました。
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